2005年10月30日

村上ファンドの「浅ましさ」

 楽天TBS買収のニュースの影響ですっかりかき消された感のある、村上ファンドの阪神電鉄株取得問題(問題?)であるが、本日、それについて書かれている、非常に香ばしい文章を読んだ。
 R25というフリーマガジンの66号の最後のページに載っている、作家の石田衣良による「空は、今日も、青いか?」というコラムである。(コラムタイトルは、「ファンドの正体」。)

 このコラム、冒頭は、

またも浅ましいニュースである。
で始まる。結びは
まったくどうでもよくて、浅ましい話である。
である。その間、全編に渡って村上ファンドの「浅ましさ」をこき下ろす文章となっている。

 だが、内容は特にどうということはなくて、村上ファンドが表立ってやっていること ― すなわち誰でも知っている資本主義社会のルールとファンドの役割を、「村上ファンドは浅ましい」という悪意に満ちた主張を交えて記してあるだけである。「ファンドの正体」もなにもない。
 実際、運用会社や証券会社で働く人たちへの職業差別だと言ってもいいぐらい、一般論を以って村上氏を批判している。

 金を儲けようとすることを「浅ましい」と非難されてしまうと、資本市場参加者としては、反論のしようがない。
 石田氏も、自らの利益を追求することが全体の利益となる、という市場の大原則を知らないわけでもあるまい。ということは、石田氏は、資本市場の仕組みそのものが浅ましい、と主張しているわけだ。そりゃもう、「はいはいそうですね」と言うしかない。

 石田氏が持つ、この「金儲けは浅ましい」という倫理感は、多くの日本人が共有するものだと思うし、ある程度共感もできる。
 だが一方で、金儲けは汚い、と思っている石田氏は、売れっ子の作家であるし、おそらく一般の人よりも多くのお金を儲け、資本市場に貢献していることだろう。それなのに、村上ファンドの金儲けを浅ましいと名指しで批判する。その心理は、いったいどこから来るのだろうか。

 私は、その心理は「後ろめたさ」の裏返しから来るのではないかと思う。
 世界を見渡せば、日々の食事にすら困り死んでいく子供らが大勢いる。一方で自分は恵まれた環境で、その子らに比べればまるで王侯貴族のような生活している。金儲けは浅ましい、その染み付いた倫理観が彼を責め、後ろめたさを感じさせる。

 だが、彼は自らにこう言い聞かせる。
 村上ファンドを見よ。1000億円という巨額をつぎ込み、純粋な野球ファンを利用して、もっと多くの金を儲けようとしている。自分はあそこまで徹底的に金儲けを追求しているわけではないし、巨額の金を儲けているわけでもない。資本主義社会のルールに則っていようがいまいが、ああいう輩こそが浅ましいのであって、自分は浅ましくない。ああいう輩が行っている金儲けこそが、非難されてしかるべきである。ああいう輩がいるから、世界から貧困が無くならないのだ。

 こうして彼は、村上ファンドへの非難を以って、自分への免罪符を手に入れる。その思いをフリーマガジンに書く。めでたしめでたし、である。

 ・・・などという想像を、私はブログに書く。めでたしめでたし。

posted by 柏 at 00:52| Comment(4) | TrackBack(1) | 日記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございます。

村上世彰が球団上場を言い出さなければ、いろいろ感情的な反発を受けることも少なかったように思います。
一方で、村上ファンド叩きのあまりの拙劣さに、これは自由放任主義路線を推進するための仕込みなのではないか?と勘ぐりたくなったりもします。
Posted by びんごばんご at 2005年10月30日 17:44
びんごばんごさん、コメントありがとうございます。

なるほど。
個人が書くブログよりも、テレビや雑誌などの方に幼稚な意見が散見されるということは、もしかしたらそういう陰謀があるのかもしれませんねえ・・・。
Posted by at 2005年11月01日 23:56
村上の論理
・ルールに違反しているわけではないから自分の行為に問題はない。
・いやなら上場するな。

これって、すべて村上自身に当てはまることなんですよ。 プロ野球界を既得権益の亡者と批判するのは勝手ですが、べつに法律違反しているわけではないし、
既得権益の亡者が嫌なら関わらなければば良いだけの話。自分はルールを守っていると正当化する癖に、他人には気に食わないからルールを変えろってねぇ、そんな自己中心的な論理に説得力なんて全くない。
村上なんて奴はただの自己矛盾で精神が分裂したオナニー野郎ですよ。
こんなゴミみたいな奴に付きまとわれても社会にとって何の役に立たないどころか
無駄にエネルギーを消費する分、大きな損失です。さっさとハゲタカ規制法を作るべき。

http://blog.livedoor.jp/boomer44/
Posted by 国賊デモキン at 2005年11月20日 22:45
国賊デモキンさん、コメントありがとうございます。

>べつに法律違反しているわけではない

そうですね、ただ法律というのは時代とともに変わっていくものだと思います。
で、

>さっさとハゲタカ規制法を作るべき

とありますが、私としては規制は緩める方向に進んで欲しいと思っています。
Posted by at 2005年11月21日 23:52
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